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ふじとり/室蘭

かけラーメン(塩)\480 ★★★★+

ふじとり/室蘭

昭和レトロなラーメン屋があるに違いない.
お昼に食べたむろ市のラーメンに感動して,夕方,再び輪西へ.

シャッターの降りた商店が続く人影まばらな昭和レトロな商店街を徘徊する.
やはりあった.
子供のころよく見かけた古びた建物だ.
建物の真ん中に駅のホームにある駅名表示板が置かれている.
駅名は,栄養本線スタミナ駅「ふじとり」だ.
駅員さんがラーメンを持って旗を振っている.
右側の駅がやきとり駅,左側の駅がラーメン駅だ.
どうやら,焼き鳥とラーメンの店のようだ.

それにしても謎めいた怪しげな店だ.
ラーメン駅には暖簾がかかっているが,引き戸は堅く閉ざされている.
いったん入ろうものなら,神隠しにあって二度と出てこれないのではないか・・・.
そんな不安が頭をよぎる.
だが,ラーメン食いたさにおそるおそるラーメン駅の扉を開けて中に・・・.

その時だ,不安が的中した.
一陣の風が吹いてタイムトラベルが起こったのだ.
時代は,一気に昭和30年代へ・・・.

コンクリートのたたき,古びた板壁と木製の高窓,薄暗い店内,煙突のついた石油ストーブ.壊れかけた縁がアルミのコの字型をしたデコラのカウンターや丸椅,剥げ落ちた鏡・・・.
壁の隅に置かれた白黒のテレビでは,ドンガバチョとトラヒゲが霞のかかったような声で話しているではないか.
カウンターの端で作業着を着た中年の客が,一人黙々とラーメンをすすっている.

おお,これは・・・.
思わず息を呑む風景だ.
幼少のころに見たあの大衆食堂の風景だ.
父や母に連れて行ってもらった.
店の母さんが運んできてくれたラーメンは,何の飾り気もなかった.
だが,鶏がらのスープは,何ともいえない旨みがあった.
わずかに昆布の味もした.
もちもちとした麺をつるつるとすすった.
旨かった.
夢中で食べた.
あれからどれだけの年月が経ったのだろうか・・・.

スープに残った鶏がらの臭みが気になって,我に返った.
見ると,古びたデコラのカウンターの上の丼がいつしか空になっている.
白昼夢だった.
いい夢を見たと思った.

鶏がらの臭みさえなければ,完璧な塩ラーメンだと思う.
(2008/4)


ふじとり 室蘭市輪西町1丁目36-6

ふじとり/室蘭

女将さんの話によると,創業1955年(昭和30年)ころ.
とにかくレトロな店だ.
今時こんな店に出会えるとは思っていなかった.

ふじとり/室蘭

店の中央にある駅名案内板.
その下には,昔懐かしい錆びたコカコーラのブリキの看板がある.

ふじとり/室蘭


メニューは,かけラーメンのほかノーマルの三味のラーメン.
それに,焼き鳥も喰える.