丸長中華そば店/東京 荻窪
チャーシューメン\900 ★★★★★
大戦により壊滅状態になった東京.
終戦後,闇市の中から多くのラーメン屋が生まれた.
中国からの引き揚げ舎によるラーメン屋台もあった.
東京/荻窪でいち早く店を出したのは漢珍亭.
昭和22年のことだ.
今では当たり前になった味玉を出したことでも知られている.
そして,その年の暮,その後の東京ラーメン史上,大きな影響を与えたラーメン店がオープンしたのだ.
そのお店が荻窪丸長.
このお店の意義については,既に多くのブログなどで紹介されている.
戦前の東京ラーメンと違って,蕎麦のかえしの手法を取り入れて魚介系の味が加わった.
戦後昭和の東京ラーメン史の幕開けといえるラーメンだ.
このお店で食べるたびに,新しい発見と大きな衝撃を受けのだ.
今日は,チャーシューメン.
スープは動物系に節や煮干しをベースにした魚介系のインパクトがある醤油スープだ.
濃いめの醤油味が実に力強い.
麺は,太麺.
このお店の人気メニューのつけ麺よりも更に太いシコシコ麺は,力強い.
強いスープと相まって力強い輪郭のはっきりとしたラーメンを構成している.
旨い.
チャーシューが絶品だ.
バラ肉チャーシューは丁寧に煮込まれている.
しっかりとした肉の旨味が引き出されている.
定評のある絶妙な味付けのシャキシャキメンマとともに,実に旨い.
実にインパクトがあって力強い.
自己主張のある感動的な旨いラーメンだ.
(2011/5)
つけそば\700 ★★★★★
二郎のラーメンに中毒性があるように,このお店のつけそばにも似たものがある.
今日は,どうしてもこのお店のつけそばが食べたくなった.
やっぱり旨い.
ツルモチの中太直面は,きりりと旨い.
つけ汁は,煮干しや節系の強い旨味のあるスープに,酸味,大量に投入されたコショーの辛味,グラニュー糖の甘味が,強烈な個性を生み出している.
やみつきになる.
このお店のメンマがこれまた旨い.
よく煮込まれている.
ビールによく合うこと請け合いだ.
このお店,麺が登場するまでに時間がかかる.
ビールでも飲みながらゆっくり待とう.
(2010/11)
つけそば\700 ★★★★★
開店時間を過ぎているというのに表のシャッターが開いていない.
誰も並んでいない.
臨休なのだろうか.
まごまごしていると,脇の裏口からお店の大将が出てきた.
シャッターが開かないので,こっちから入ってくださいと.
そうか,そうか.
納得しながら厨房を通って店内に入る.
何と先客が1名いるではないか.
常連客のようだ.
登場したつけそばは,レトロな趣のある外観だ.
麺は,中太縮麺.
直に近い.
何というプリプリ感だろうか.
麺自体に味があって実に旨い.
つけだれは,強い酸味の動物魚介系.
これに辛味が加わる.
流行の濃厚系と違ってクリアな味.
一点の紛れもない.
麺との相性も抜群だ.
麺の味を強烈に引き出している.
やはり,このお店はメンマ(竹の子)が旨い.
クラシックな味付けだ.
さすがに旨い.
レトロ感もいい.
次回は,竹の子つけそばあたりを食べてみたい.
帰り,いつの間にか表のシャッターが開いている.
いったいどうしたことだろうか.
(2010/5)
ラーメン\600 ★★★★★
荻窪ラーメンの発祥の店の一つだ.
昼時だというのに並ばずに入店.
ラッキーだ.
店内はほぼ満員.
多くの客がつけそばを食べている.
やはり人気のメニューなのだ.
支那竹を肴にビールを飲んでいる人もいる.
麺が茹で上がるまでの待ち時間がかなり長いのだろうか,
なかなか出てこない.
ようやく登場したラーメン.
大きめの丼に入っている.
スープは,鶏ガラ・強い魚介系和風だしに濃いめの醤油味.
押し寄せてくる重層的な旨味に鳥肌がたつ.
実に旨い.
麺は,中太の自家製縮麺.
柔らかいがもちもち感ある.
麺自体がおそろしく旨い.
具は,葱,厚めの叉焼,支那竹,海苔とシンプル.
特に支那竹が旨い.
さすが丸長グループの総帥,
元祖荻窪ラーメンだけのことはある.
(2006/4)
■丸長中華そば店■
東京都杉並区荻窪4-31-12
水3日休/11:30~15:00 17:30~20:00
1947年(昭和22年)
丸長は,昭和22年暮れ,荻窪駅北口で創業した.
長野県出身の青木勝治氏が,兄弟の青木保一氏、青木甲七郎氏のほか,親戚関係にある山上信成氏、坂口正安氏と共同経営で始めたようだ.
青木勝治氏は,戦前小岩で蕎麦屋を経営していたという.
その経験が丸長の荻窪ラーメンに生かされることになったのだろう.
昭和25年以降,丸長の共同経営者であった青木保一氏,青木甲七郎氏,山上信成氏が,それぞれ,栄楽,栄龍軒(閉店),丸進を独立して経営.
栄楽からは,坂口正安氏が,遠縁に当たる山岸一雄氏を連れて独立し,中野大勝軒を創業.
昭和30年には,上原大勝軒も立ち上げてここを本店とした.
坂口氏が上原大勝軒に移った後,中野大勝軒を任された山岸一雄氏は,昭和30年にもりそば(つけ麺)をメニュー化.
その後,昭和36年に独立して東池袋大勝軒を創業した.
その後も各店から多くの系列店が生まれ,丸長のれん会なる一大組織を形成している.
現在の荻窪丸長は,青木勝治氏の五男青木明史氏が経営に当たっている.
現在では,つけそばが一番人気.
つけ麺ブームが起きた昭和50年ころ,坂口氏の教えによりメニュー化されたようだ.
もちろん,その考案者は,中野大勝軒時代の山岸氏だ.
丸長の店舗は,趣がある.
昭和のレトロ感が漂っている.
メニューは,ラーメンとつけそばが基本.
1杯が提供されるのに時間がかかる.
それは,頻繁に麺を茹でるための湯を丁寧に交換するからだ.
さすがに,東京ラーメン史に名を残す名店だけのことはある,
(2010/5)
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