【閉店】 王さん/函館
塩ラーメン\520 ★★★★+
ザンギ\950 ★★★★+
塩ラーメンのスープは,鶏ガラベースのすっきりとした塩味.
伝統的な函館ラーメンの中ではコクがある部類だ.
麺は細直麺.ほどよい堅さに茹であれている.
具はシンプルな構成.
あくまでも函館ラーメンにふさわしいシンプルさにこだわっってある.
函館のラーメン屋は同時に中華料理店でもある.
たいていどこのお店にもザンギがある.
ザンギとは,要するに鶏の唐揚げのことだ.
どうやら王さんのザンギは,原型に近いもののようだ.
使い込まれた年代物の雷文つきの中華皿に盛りつけられている.
何ともレトロだ.
こんがりと揚がっている.
若鶏のうまみがよく出てた素朴な味だ.
典型的な鶏の唐揚げというよりは,和風の竜田揚げに似ている.
この店の歴史を感じる一品といえようか.
(2003/6)
王(おう)さん
函館市若松町18-5
火休/11:00~19:00
創業1946年(昭和21年).
店名は「おうさん」.
函館大門にある老舗のラーメン屋だ.
明治末期,大森町にあった大森遊郭の入口にあたるこの地区.
巨大な門があった.これにちなんで大門と呼ばれるようになったようだ.
この門は,昭和9年の函館大火で焼失した.
現在も若松町から松風町に続く函館駅前一帯を大門と呼んでいる.
周辺の小路にはそれぞれに名前がついている.
音羽通、柳小路、高砂通、大門仲通、京極通、広小路、菊水小路、祇園小路、浅草小路などだ.
これらの小路を結ぶ狭い小路もたくさんある.
かつては,こうした小路に居酒屋,バー,カフェが所狭しと軒を連ねていた.
昭和30年代以降,北洋漁業の衰退や五稜郭以北の郊外への大規模店舗の進出等の影響を受けて,飲食店等の廃業が相次いだ.
大門は今やかつての活気を失っている.
王さんの創業者は,北海道最古の中華料理専門店として昭和12年にここ大門で創業した陶陶亭元料理長の王鴻吉さん.
伝統的な函館ラーメンを提供している家族経営の店だ.
現在は,二男の平沢俊幸さんが経営されているようだ.
なお,陶陶亭の出入口の門は,今も王さん近くの小路に残っている.
店内は,カウンターとテーブル席のレトロな造り.創業当時のままだそうだ.
今では見かけなくなった御会計の案内板がある.
セットメニューなどもある.
(2008/9 更新)