味の清ちゃん/札幌 美園
しょうゆラーメン\550 ★★★★★
<札幌ノスタルジックラーメンシリーズ その3>
1942年(昭和17年)創業.
すすきのの屋台として出発した.
戦前の札幌ラーメンの味を継承するラーメン屋だ.
二年ぶりの訪問.
婆さんは,お元気だろうか.
営業時間が変更になったらしく,11:00の開店.
何と調理服を着た息子さんが厨房に立っているではないか.
2年前,息子さんに後を継いで欲しそうに話していた婆さん.
念願がかなったのだろうか・・・
珍しいことに,入店後,後客3名.
婆さんが息子さんに教えながら調理をしている.
登場した醤油ラーメン.
相変わらず透明度の高い美しいスープ.
鶏がら中心の動物系ベースのあっさり醤油味だ.
今日は,やや濃いめの味付けだが,実に旨い.
麺は,一柳の中細縮麺.
今日の茹で加減はバッチリだ.
麺を啜った瞬間,このラーメンが札幌ラーメンであることを感じさせてくれる.
コリコリの細切りのメンマやバラ肉叉焼は,昔ながらの味わいだ.
というわけで,ノスタルジック度:★★★★★
(2011/8)
昔しラーメン(塩)\650 ★★★★★
再訪すると約束しながら半年以上も経ってしまった.
AM10:30 到着
既に暖簾が下がっている.
店内にはお婆ちゃんがいない.
「ごめんください」.大声で叫ぶ.
「はいはい,あーいらっしゃい.何にしますか.」奥からバタバタとお婆ちゃんが出てきた.
「えー,今日は,昔しで」
「味,何にしますか.昔しなら塩か醤油.味噌もできるけど・・・.」
「じゃあ,塩で」
テーブル席に腰掛ける.
ラジカセのラジオは,富良野の肉まん屋から何やら中継を伝えている.
お婆ちゃんは,厨房で雪平の小鍋を出したりしてバタバタと・・・.
それにしてもカレンダーの多い店だ.
気がついただけで7つはある.
それに一柳製麺の日めくり.
3月に来たときと比べて,残りの厚さは随分薄くなっている.
あと1か月もすれば年の瀬だ.
ラーメンが出来上がったようだ.
お婆ちゃんが布巾代わりの青のタオルと一緒に運んできてくれた.
丼からあふれんばかりになみなみとスープが入っている.
「味濃かったら調整するからね.」
「きれいなスープっすねえ.あっさりしてる.コクもあって旨いっすね.」
「そうかい,ありがとう.そう言ってくれるとうれしいよ.」
化調の効いたスープだが,レトロ感満点だ.
麺の茹でもバッチリ.
昔しラーメンは,ノーマルラーメンと違って,もやしが入っていない代わりにゆで玉子とほうれん草が入っている.
特に細切りメンマがいい.
シャキシャキしている.
ガツガツと5分ほどで完食だ.
実に旨い.
「やっぱり旨かったっすよ.」
「いやいやありがとう.」
「お婆ちゃん,寒くなるらしいから気をつけてね.」
「ええ,ええ.来年になったら,もう一度来てきださいね.」
「また,時間あいたら寄らせてもらうから・・・」
「そうですか.ありがとう.ありがとう.」
そんな,お婆ちゃんの言葉を背に店を出た.
彩未の前にはいつものように行列ができていた.
これを横目に,この日も鼻歌交じりで帰路についた.
(2008/10)
ラーメン(しょうゆ)\550 ★★★★★
午前11時過ぎ.
暖簾をくぐる.
昭和レトロな店内には人影はない.
ほどなく店の奥から店主らしき矍鑠としたお婆ちゃんが急いで出てきた.
出入口近くのテーブルに腰を下ろす..
大きなコップに水を持ってきてくれた.
正油ラーメンを注文する.
それにしても昭和レトロな店内だ.
カウンター上に張られたラーメンの幕がいい.
1卓だけの小上がりもある.
その天井近くには,店の商売繁盛と安寧の守護神だろうか,神棚が祭られている.
よく掃除がいきとどいた店内には,BGM代わりのラジオから流れる声とともに静かな時間が流れている.
もう3月だというのに,所々に掛けてあるカレンダーは2月のままだ.
ただ,日めくりだけは,確実に3月の日々を刻んでいる.
おばあちゃんが,決まって毎日,めくっているのだろう.
カウンター奥の厨房では,お婆ちゃんが一人ラーメンを作っている.
スープ作りは雪平の小鍋だ.
お婆ちゃんが運んできてくれたラーメンのスープは澄んだきれいな色をしている.
豚骨というよりは,むしろ鶏ガラを中心にしたと思われるこのスープは清々しく,旨い.
もちろん化調が入っている.
だが,それが僕の脳裏奥深くに沈んでいる昭和レトロな食の記憶を一気に蘇らせるのだ.
ただものではないスープだ.
麺も旨い.
急いで作ってくれたせいか,麺堅で丁度いい.
昭和の昔懐かしいラーメンそのものだ.
ラーメンを食べながらお婆ちゃんと世間話.
(カレンダーが2月のままになっていることが気になって・・・)
僕「もう3月ですよねえ.」
婆「そうだね.でも,まだまだ寒いね.」
僕「ラーメンあっさりとしてて旨いですよ.」
婆「そうかい.そう言ってもらえると嬉しいよ.辛かったら言ってね.」
僕「丁度いいっすよ.」
婆「それにしても,最近のラーメンは,何であんな濃いのを作るんかねえ~.」
僕「若い人に人気のようですから・・・.このお店は何年からやってるんですか.」
婆「まだ,狸小路やすすきのに屋台がたくさんあったころ.そう,昭和17年.」
(中略)
僕「すすきのの屋台から始められたんですか.」
婆「そうそう.すぐ戦争もあったけどね.それから60年.私はラーメン作りしか知らないんです.」
「60年間,スープの味は変えてませんから・・・.」
僕「そうすると,戦前の屋台から変わらない味なんですか.」
婆「そうなんです.戦前,元々の札幌のラーメンはこういう味だったんですよ.こういうあっさりとした味.」
「だから,若いお客さんが来ると,最初に,うちのラーメンはあっさりとしていて口に合わないからって言っているんです.」
「でも,若いお客さん,このお店のあっさりとしたラーメンが旨いと聞いて来たというんですよね.そしたら,私作るの.」
僕「このお店は何時からなんですか.」
婆「昭和42年ですよ.」
(中略)
僕「ラーメン旨かったです.」
婆「そうかい,そうかい.今日の口開き(初客の意)で来てくれてありがとうね.」
「最近ではお客さんは,一日5~6人しか来てくれないの.」
僕「そうですか.また,寄らせてもらいますから・・・」
繰り返しありがとうと言ってわざわざ店の出入口まで送ってくれたお婆ちゃんに礼を言って店を出た.
帰途,ほど近い彩未の前を通った.
相変わらずの行列ができていた.
ラーメンとはいったい何だろう.
そんなことを考えながら,行列を横目に鼻歌交じりに家路を急いだ.
(2008/3)
■味の清ちゃん 美園店 ■
札幌市豊平区美園9条7丁目3-8
火休/11::00~19:00
1942年(昭和17年)
<メモ>
昭和17年にすすきの屋台からの出発だ.
現在の美園の店は昭和42年から.
いずれにしても,この店は,戦前からの札幌ラーメンの流れを汲む貴重なラーメン屋といえそうだ.
お婆ちゃんの話からも分かるとおり,メニューはラーメン中心.
ほかに定食類や丼物もある.
お婆ちゃんの話では,最近の小麦粉の高騰により,麺1玉5円値上がりしたとか.
そのため,最近,ラーメンを500円から550円に値上げしたそうだ.
昭和レトロないいラーメン屋だ.
お婆ちゃんには,是非,元気で頑張っていただきたいものだ.
<メニュー>
ラーメン(みそ・塩・醤油)\550
昔しラーメン(みそ・塩・醤油)\650
野菜ラーメン(みそ・塩・醤油)\700
チャシューメン(みそ・塩・醤油)\800
肉玉丼\650
牛丼\650
餃子定食\700
野菜イタメ肉入定食\700
玉子焼定食\650
など
(2011/8)
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