馬喰町 大勝軒/東京 馬喰町
鳥ソバ\830 ★★★★+
久しぶりの訪問だ.
お店の様子は,前に来たときと全く変わっていない.
このお店の価値は,そのクラシックな味もさることながら,何といっても店舗のレトロ感.
大正という時代を感じさせる.
麺は,中太直麺.
ラーメンに使われているのと同じ麺だ.
低カンスイでコシがある.
スープは,動物系ベースの醤油味.
これに,鶏,もやし,白菜,しいたけ,竹の子などの旨味が出た甘味の強いあんかけと混じり合って実に旨い.
しかも,優しい味付けがいい.
何ともレトロな鶏ソバだ.
大正から続く中華料理の本領発揮といったところだろうか.
(2010/8)
肉絲麺(ラーメン)\650 ★★★++
人形町大勝軒(閉店)系の店の一つだ.
創業は,大正13年.
仕事帰りの夕方,重い引き戸を開けて店内に入る.
誰もいない.
大きな声で来客を告げると,奥から白い調理衣を着た初老の小柄な方が現れた.
ご主人なのだろうか.
入口のテーブルに腰を下ろす.
テーブルの上にプラスチックケースに挟まれた表裏のメニューが一つ置かれている.
ほかにメニューはないものかと当たりを見回す.
壁に猫の絵のようなものがかけられている.
メニューらしきものは貼られていない.
奥の座敷のテーブルにも見あたらない.
つまり,店内にあるメニューはこれ一つのようだ.
メニューは手書き.
墨かマジックのようなもので縦に書かれている.
漢字が多い.
麺類はあるのだが基本ラーメンらしきものが見当たらない.
メニューを追っていくと,最後に肉絲麺・・・ラーメンと書かれていた.
よく似た名前のメニューを思い出した.
かの竹家食堂(札幌/閉店)の中国人の料理長王文彩氏が作っていたラーメンの名前だ.
「ロースーミェン」と発音するようだ.
竹家食堂の創業は大正11年.
馬喰町大勝軒がわずかその2年後の創業であることを考えると大いに関連性があるのだろう.
この店のラーメンの歴史も同じように古いことが推測される.
肉絲麺は,普通のラーメン丼ではなくて,かけそばやかけうどんに使うような丼に盛りつけられて登場した.
かろうじて具の縁赤叉焼により,これがそばやうどんではないとの見分けがつく.
スープは鶏ガラ・豚骨ベース.
魚介系和風だしは感じられない.
麺は中太直麺.
比較的コシがある.
具は小振りの縁赤叉焼と刻み葱のみだ.
実にシンプルな元祖東京ラーメンといえよう.
(2006/5)
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中華料理 大勝軒
東京都中央区日本橋横山町8-12
日休/11:30~19:00(L.O)
大正13年
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人形町大勝軒(閉店)の暖簾分け店の1つだ.
店舗は,江戸時代の商家を思わせるような木造の極めてクラシックな建物.
文化財に指定されてもおかしくないような造りなのだ.
驚くのは店の入口の広い間口.
木製の長く重厚な引き戸は壮観だ.引き戸中央の横桟には,白字で中華料理と彫り抜かれれている.
引き戸前の上部には鮮やかな紺色をした大きな暖簾.
白字で大きく大勝軒と染め抜かれている.
店内は,入口に近い部分がコンクリートのタタキとなっている.
ここにはテーブルを2つくっつけものがひとかたまりぽつんと置かれている.
周囲を木製の背もたれのある椅子がずらりと取り囲んでいる.
店の奥は座敷.
木の根の部分を磨き上げた厚い立派なテーブルが3卓置かれている.
座敷の天井は,木製の大きめの格子状.
きれいな光沢を発している.
見事だ.
入口のタタキから座敷の脇を通って奥に向かい通路が延びている.
通路の壁の腰板もまたすばらしい.
壁の向こうが厨房のようだ.
おそらく創業以来の建物なのであろう.
どう見ても中華料理店のようには見えない.
雰囲気は一気に大正時代にワープする.
一見の価値がある.
<メニュー>
(2010/8)
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